10月1日付で、待望?の Windows Azure アプリケーション用 System Center Operations Manager 2007 R2用管理パックがリリースされていました。
またこの管理パックのリリースに合わせて System Center Operations Manager 2007 R2用の累積的な更新(CU:Cumulative Update)3もリリースされています。(※どちらかというとCU3リリースに合わせて管理パックが出た、のほうが正しいですね)
System Center Operations Manager って?
まず最初に System Center Operations Manager (以下SCOM)って何?という人のために超簡単に説明すると、SCOMとは、組織内の様々なサーバー・クライアントを統合的に管理・監視・運用するためのマイクロソフトのシステム管理製品の事を指します。
特徴的なのは、Windowsプラットフォームだけでなく SNMPやSyslog等を利用してUnix・Linuxといったプラットフォームも管理することができます。
また単にログを収集したりアラートを表示するだけでなく、自動的に特定の処理を行ったり、どんな対応をしたかといったナレッジを残せる点がよくできています。
後、管理者にうれしいのは、Microsoftの開発者達のノウハウが管理パックという形で提供されている点にあります。
管理者がゼロからノウハウを貯めるのではなく、あらかじめ提供されている管理パックの情報を元に対処を行い、組織独自の部分は自分たちでさらに追記して貯めていくことができます。
余談ですが、この製品と System Center Services Manager 等と組み合わせることでインシデント管理等、ITILに見られるようなITサービス管理の自動化などを実現できますね。(Service Managerはまだ評価版しかありませんが)
SCOM+Windows Azure アプリケーション 管理パック
…さて話がそれてしまいました。
今回の本題は Windows Azure アプリケーションを SCOMで管理しよう、ですね。
なんでわざわざ記事にしているかというと、今までSCOMでは Windows Azure の管理ができなかったわけです。(Management API は提供されていましたので、独自で管理するか、別途専用の有償製品などを利用する必要がありました)
そのSCOMですが、この10月1日にCU3がリリースされ、やっと Windows Azure アプリケーションも管理できる機能拡張がなされました。
機能の追加: Azure アプリケーションの監視
また、機能として対応するだけでなく、ノウハウの詰まった管理パックも同時にリリースされています。
- Windows Azure Application Monitoring Management Pack
- ドキュメントも公開されていますのでまずはそちらを参照ください。
要件や注意点、インストールから Windows Azure の管理に必要な構成等についても記載があります。
- ドキュメントも公開されていますのでまずはそちらを参照ください。
この管理パックでできることをドキュメントから抜粋すると以下の項目になります。
- Discovers Windows Azure applications.
- Provides status of each role instance.
- Collects and monitors performance information.
- Collects and monitors Windows events.
- Collects and monitors the .NET Framework trace messages from each role instance.
- Grooms performance, event, and the .NET Framework trace data from Windows Azure storage account.
- Changes the number of role instances.
だいたいのことは出来そうですね。
今まで Management API を使って独自で収集・管理していた部分とかぶりますが、既存のサーバー等の監視と共通の操作性で管理ができるようになることが一番のメリットだと思います。
つまり、SCOM 2007 R2 CU3+Windows Azure 管理パックの構成で、IT管理者は自社設置とクラウドを意識することなく、(Azureやクラウド特有のノウハウはある程度必要にせよ)通常通り業務をこなすことが可能になります。
しかも過負荷時にインスタンスを増やしたりすることもSCOMでささっとできます。(※但し収集のタイミングやログの出力のラグ等を考えると、ピーキーなシステムではもう少しリアルタイムな仕組みを考えないといけないかも)
注意点
このSCOM 2007 R2 CU3+管理パックで万事解決、Azure管理者の福音となるか?というと現状さすがにそこまでではありません。主な注意点として(現段階でわかっている部分とドキュメントに記載あるもの)以下が挙げられます。
- SCOM 2007 R2 CU3 を適用したSCOM管理グループが存在する必要があります。(当然SCOM 2007 R2が正しく稼働している必要があります)
- これが意外とハードルになるケースもあるかもしれませんね。。
- Windows Azure のトラストレベルは、フルトラストレベルで発行されている必要があります。
- Windows Azure Diagnostics が有効になっていること。
- Windows Azure Diagnostics にて Windows Azure Storageに転送されるように設定されていること
実際に利用する際は、Management API を利用する場合と同様にX.509証明書の配置や、アプリケーション側で正しくログを出力するように作りこんでおく必要がありますね。
まとめ
IT管理者にとって使いやすい System Center Oprations Manager を利用して、自社設置のサーバーやクライアントだけでなく、 CU3+管理パックによって Windows Azure アプリケーション(クラウドアプリケーション)も集中管理できる時代がやってきました。
今までIT管理者視点で Windows Azure が語られることは少ないと思ってるのですが、今後はどんどんIT管理者視点からみた On-Premise と Cloud 、あるいはハイブリッドなシステムをどう構築し、管理・監視していくかといった情報もたくさん出てくるかもしれませんね。
おいらも隙をみて実際にSCOMで監視したりしてみたいと思います。
参考
- System Center Operations Manager 2007 R2 Cumulative Update 3 (KB 2251525) – 日本語
- システム センター オペレーション マネージャー 2007 R2 累積的な更新 3
- Windows Azure Application Monitoring Management Pack
- Advisec Blog – Windows Azure Application Monitoring Management Pack
- Japan System Center Support Team Blog
- Windows Azure アプリケーションの監視はMSDNフォーラムにも回答しましたが以下のドキュメントも参考になると思います。
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